2024/06/28 15:01
草刈機が響かせるブォーンブォーーンという音に、
モォー…モォーーと鳴く牛蛙。
この音に囲まれだすと、夏のはじまりだなぁと感じます。
牛蛙。
地鳴りのような重低音は、畑作業をしていて初めて聞いた時に
「なんだ?!近くに牛舎でもあったっけ?」と勘違いしたほどです。
そんな牛蛙の声が鈍く響く6月下旬のペケレさんの畑では、 梅雨前に急げ急げと野菜の苗の定植が続きました。
トマト、ナス、きゅうり、オクラ、ピーマン、、、
まだ頼りない小さな苗が、夏の後半にはふさふさと実をならせるとは感心だなぁと、楽しみに思いながら
しっかり根付いて育っておくれよ~!と
ぎゅっと土にまで念をこめてひとつずつ畑へ。
ペケレさんの畑では、自然農という栽培方法をされています。
野菜づくりといえば 、種や苗のパッケージの記載を見てみると分かりますが
「土づくりのために~~~の割合で〇〇堆肥を入れて…」
「~~のタイミングで■■追肥を入れて… 」
という風に肥料の力を活用するものがほとんどです。
そうすることで元気に育ちやすい、大きくなる、味が良くなる…などなど、
様々な肥料には先人たちの様々な経験と試行錯誤、研究の結果から生まれた技術が詰まっています。
人間で言ったら、成長に良いとされる栄養たっぷりのご飯を毎食しっかり食べているようなものなのかな?
化成肥料は有機肥料よりも早く吸収されやすいものなので、
いわば即効性のある栄養ドリンクをとるようなものかもしれませんね。そして農薬は風邪薬といったイメージでしょうか。
自然農や自然栽培の畑は、そんな肥料や農薬を使用しない野菜づくり。
様々な方法がありますが、 畑に生える草を生かして土壌を整え、太陽、雨、自然の力で育てるものが主流です。
そのため比較的ゆっくりと野菜が育ちます。
畑の土の力が問われ、天候の影響ももろに受けます。
昨年は豊作だったけれど、今年はほぼうまく育たなかった、ということも起こります。
ペケレさんの畑でも今年は玉ねぎなどがそうでした。
せっかく長い時間をかけて育ててきたのに、収穫がほぼ無いというのはとても悲しくやりきれないこと。
控えめに言っても心が折れるくらい凹んでしまいそう。
ただ、そういう類いのことはよくあるそうです。
10年以上自然農を続けて土の力はある程度安定してきたけれど、
年によって違いがあるのが常。玉ねぎは良く育たなかったけど、今年はインゲンが調子が良い、とか。
もしかすると、土壌に蓄えられている肥料分や微生物の働きがバランスをとっているのかなという風にも感じられます。
とても良い調子が続く方が不自然で怖いぐらいなのかもしれません。
変化しつつ、揺れ動いていることが通常の状態。
人間も同じかもなぁなんて思ったりします。
今年良い作物があって、出来が悪い作物もあって、
自然界ではそれが通常運転なのかな。
ほんの少しですが農業に携わっていると、
自然の流れのそのサイクルや揺れ、動きをある程度受け入れなくてはやっていけないんだなと感じます。
特にここ数年は天候の変化も激しく、今年の梅雨がどうなるのか、今年の夏がどうなるのか…
その中で、継続して私たちが恵みをいただいていくためにはどうしたら良いか。
この畑で、この時期に出会える、この旬の味、 それは実は2度と出会えない味わい。
